しゃべることについて / ハリール・ジブラーン


d0366590_15021723.jpg


「しゃべることについて」

しゃべることについてお話を、とある学者が言った。
彼は答えて言った。
心が平和でなくなったとき
あなたがたはしゃべる。
心の孤独に耐えられなくなったとき
あなたがたは唇に生き
音は気散じと慰みになる。
おしゃべりの多くの中で
思考は半ば殺される。
思考は空間を必要とする鳥だから、
ことばの籠の中では羽をひろげるだけで
飛びたつことができない。

ひとりで居るのを恐れて
話好きの人を探し求める者がある。
ひとりで黙っていると、裸の自己が見えるから
それを逃げたいと思うのだ。
ある者は自分でもわからずに、
知識も予感もなく話しているうちに、
ある真理をあきらかにすることがある。
かと思うと、内に真理を抱きながら
ことばで告げない者がある。
彼らのうちには、リズムある沈黙をたもって
精神が宿っているのだ。
道端や市場で友だちに会うとき、
あなたの内なる精神に導かせて
唇と舌を動かしなさい。
あなたの声の内なる声に
友の耳の内なる耳に語らせなさい。
なぜなら友の魂はワインの味をおぼえるように
たとえ色が忘れられ、器が失せた後でも
あなたの心の真実をおぼえつづけるだろうから。

[PR]
by yamanomajo | 2018-03-05 18:23 |