丘の上には / 志樹逸馬


丘の上には
松があり 梅があり 山桃があり 桜があり
木はまだ若く 背たけも短いが
互いに陰をつくり 花のかおりを分ち
アラシのときは寄りそいあって生きている

ここは瀬戸内海の小さな島
だが丘の頂きから見る空のかなたは果てしなく
風は
南から 北から 東から 西から
さまざまな果実の熟れたにおい、萌えさかる新芽や
青いトゲのある木 花のことば を運んで吹いてくる

それは おおらかな混声合唱となって丘の木々にふるえ
天と地の間
すべては 光 空気 水 によって ひとつに
つながることを教える

風はあとからあとから吹いて来る
雲の日 雨の日 炎天の日がある
みんなこの中で渇き 求めているのだ
木はゆれながら考えている
やがて ここに 大きな森ができるだろう
花や果実をいっぱいみのらせ
世界中の鳥や蝶が行きかい
朝ごとににぎやかな歌声で目覚めるだろう

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by yamanomajo | 2018-05-19 21:16 |