畑に降り積もった雪が解け、北国にも春の兆しが感じられます。
隣にある山の木々の梢からは、新たな芽吹きの声が聴こえ、
生命の春を今か今かと待ちわびている、そんな息遣いを感じます。
木は生きている。大地も生きている。
すべてが息をし、呼吸をし、巡り、命は繰り返す。



雪が解けると、枯れ草に覆われた畝が現れます。この茶色の、静かで素朴な雰囲気が好きです。枯れ草の下の土は命そのもの。見ているだけで、ふんわりとした命の温かさ、豊かさが感じられます。
自然農は今年で5年目になります。この季節の繰り返しを、あと何回見ることになるでしょう。




畝の上には、昨年取り残した野菜や台所で出た野菜くず。これらはすべて土の上で腐って、土に還り、亡骸の層となります。生命が積み重なって積み重なって、土は豊かになる。

雪が解けて食べ物が多くなったのか、野ウサギたちの糞が以前より多くなったような気がします。この糞もやがて土に還り、土のエネルギーになる。


畝に米ぬかを蒔きました。

畑の中には、まだ手つかずの場所があります。新たな畝を作り、畑を拡張していきます。土の上にびっしりと覆っている落ち葉も、やがて腐って土に還り、土の栄養となります。
結局、“土”というのは、死んだ生命が積み重なったもの、ではないでしょうか。奇跡のリンゴで知られる木村秋則さんは、「土は、落ち葉が姿を変えたもの」と自著のなかで語っていました。

心地よい暖かさに包まれて、久しぶりの畑仕事。ただ土に向き合い、体を動かしていると、余計な思考は消え、無心になって、すべてが浄化されていくような感じがします。
頭よりも、体。頭よりも、心。
自然体で生きる無垢な子供のように。


畑のすぐそばで、ネコヤナギの花が咲いていました。ネコヤナギの花は、春の訪れを感じさせますね。
“自由” “思いのまま”
ネコヤナギの花言葉だそうです。