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土についての思い


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土とは、生命の亡骸の層。
草、植物、葉、野菜、虫、微生物、小動物―
地上で生きたものたちがその生涯を終え、朽ち、土に分解される。

土そのものが、命の積み重なり。
土とは、命の歴史。
土に、命たちの記憶が宿っている。


土をひとつかみ、その手に握る。
私は命の歴史を、その手に掴む。

幾千、幾万、幾億の命たちの生きた証、
命の塊、命のエネルギー、命の匂い。

ひとつかみの土の中に、限りない命の広がりがある。


自然農では、土を耕さない。
耕す必要がない。
命が降り積もり、積み重なるのを見守るだけ。
一年、また一年と経つごとに、
地上で生を全うした命たちが、亡骸となって積み重なっていく。
上に、上にと、命が層をなしていく。

命そのものがエネルギーで、命そのものが力だから、
亡骸が積み重なれば積み重なるほど、土は肥沃になっていく。
かつてこの世に生きた命たちが、土となって新たな命を育み、支える。
種。苗。植物。野菜。新たな生命たちは、土という命に包まれ、育まれ、
そのエネルギーと生命力を吸収して自らを成長させ、新たな実りをもたらす。


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私たち人間は、土から育ったものを食べて生きている。
死んだものたちが土となって育む実りによって、生きている。
かつてこの世に生きた命たちの力によって、私たちは生きている。
むしろ、生かされている。

土となった命たちが育てた新たな命を、私たちは食す。
そのひとつひとつの食べ物には、かつて生きていた命たちのエネルギーが宿る。
私たちの体に、かつて地上で生きていた命たちのエネルギーが流れ込む。
体の中で、幾万、幾億もの命が、ほとばしる。


生命が、生命を生かす。
今は亡き生命たちが、今を生きる生命を生かす。
今は亡き生命たちが、新たな命を育むことで、自らも生まれ変わる。
形を失ったかつての生命たちは、新たな命の形となって甦る。
こうして生命は、永遠に生まれ変わり続ける。

生命、生命、生命。
命は繰り返し、繰り返し、循環し、自らの円環のなかで、自らの永遠を謳う。


命がエネルギーであり、命そのものが豊かさそのものだから、
土に肥料や堆肥をまく必要がない。
ただ命の成り行きを、見守っていけばいい。
そのままにしておけば、命は自らの理のなかで自らを豊かにしていく。


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命は歌を謳う。
命自らの歌を。
命自身の喜びの歌を。

私は畑に立ち、彼らの歌を聴く。

草が歌う。虫が歌う。野菜が歌う。大地が歌う。宇宙が歌う。
私もまた命の歌の一部となって、そこに立っている。
私が、歌っている。体が歌っている。

すべてが共鳴し、共感し、一体となって歓びのハーモニーを奏でる。
土から生まれる命のハーモニー。
かつて生きていた生命たちと、今を生きる生命たちの、歓びの混声合唱。
震え、響き、呼び覚ます。

“わたしはここにいる”

それは、命が命自身に呼びかける歌声。

“わたしはここにいる”


土は歌う。
命の永遠を謳う。

命は、歌。
歌は、命。


“わたしはここにいる”











by yamanomajo | 2019-09-14 19:59 | 自然農

雪の多い北国で田舎暮らし。独りでいることから何かを見つける人生。カラスたちが友達。自然農で野菜作りをしています。


by yamanomajo