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星といのちのうた 人生のすべてが祈りでありますように

還る場所

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人間の旅の本質を理解できれば破壊のように見えることも、実際には聖なるものによる創造的行為であることがわかるでしょう。聖なるものは自己や意識という私たちを、ある知覚できない行為によって存在へと招き入れ、そしてまた別の行為によって永遠の生命あるいは聖なるものへと導きます。これは退行を意味するわけではありません。破壊のように思えることは、実際には前進です。ある行為によって、私たちは神の元からここへやってきました。また別の行為によって神へと還っていくのです。これほどシンプルなことはありません。来て、そして還るまでの間には人間としての様々な経験があり、還っていくための通路も用意されています。聖なるものはもちろん不変ですが、私たちは常に変化の中にあり、この動きこそが我が家へと向かう道なのです。

死の本質は、永遠の生命へと向かう前進です。死がなければ復活もありません。人間は、一般的に否定的な事柄だと考えられている病、苦しみ、老化といった解体あるいは停止、最終的には死など、創造の一方の側面に向き合うことを好みません。そうしたものは後退の動きだと考えるからなのですが、実際には前進する不可逆の動きであることには気づきません。このような無知によって人間は若さや充実にばかり執着し、それが衰退し失われていくことに大きな怖れを抱いています。心理面に注目したスピリチュアルな成長理論でさえ、人生の黄金期を越えていくことを怖れるのです。黄金期に到達した後は、もう到達すべき場所が残っていないように感じ、人生の特定の段階に執着します。いずれにせよ人間の旅の後半はあまり注目されず、注目されたとしても残念なことだと考えられています。しかし実際には、成熟を越えた後に、本当の我が家へと還る動きが始まります。もし、人生という旅が円のようなものだとすると、最も成熟した地点は聖なるものから最も遠く離れていることになり、中間点を越えると今度は聖なるものに近づいていきます。人生の前半における成長や成熟はポジティブな出来事ではなく、聖なるものに触れるものでもありません。それらを喪失する段階に至ってようやく、聖なるものへと近づいていくことができるのです。

― バーナデット・ロバーツ




by yamanomajo | 2023-04-01 07:55 | 言葉